発端から~ほんとうの秋山早苗さんを受け止めたい!~
「1食はぬいても平気 でも1回は我慢できません!」
~東京・小金井市内トイレ探訪記~ 2003年11月 秋山早苗
高齢者、障碍者そして乳児連れの人にとり、外出の最重要チェックポイントは「だれでもトイレ」。目的地などに、「だれでもトイレ」があるのか、あらかじめチェックし、もしなければ、外出を断念するしかありません。
交通バリアフリー法が施行されて、まちや交通機関は、段差の解消、昇降機器の設置と、障碍者の通行が、かなり改善されてきています。もし、まちのどこかで通行上の不都合があっても、周囲のかたに助けていただいて、乗り越えられます。でも、でも、トイレだけは、誰の助けも借りずに、自立したいのです。
私が発病して30年、車椅子を使って外出するようになって25年になりました。私ひとりの記念事業として、小金井市周辺の施設の「だれでもトイレ」を見て歩いています。約3年で100カ所のトイレを、まち歩きをしながら実践してみました。その所在、安全性、清潔性、便利性などから、検討していますが、悲しいことに、私には全く使えないトイレもありました。どうして、障碍者が使えない障害者用トイレがあるのでしょうか?
わたしの切実なつぶやきが、まちづくりの仲間たちの共感を得て、話題になってきています。法政大学建築科の2名の学生は、ボランティアで、100枚のトイレ図面を仕上げて下さいました。障碍を持ってはじめて見えてきたまちの不具合、そしてたくさんの仲間たちに励まされて、私は「自称 トイレの探検家」になりました。
小金井市周辺は、駅舎、商業施設、公会堂など公共施設の開発が、大きく動き始めています。収集事例をベースとした意見を発信し、「すべて」の人が確実に気持ちよく使える「だれでもトイレ」等の施設を、提案していきたいと思っています。
障碍のある人、高齢者、膝が痛い人、視力が弱った人、私たちの周りにいるちょっと障碍のある普通の人たち、まちに出てきませんか。ショッピングも公園散策も思いっきりしてみましょう。トイレのことは「心配無用」の小金井です・・・を期待して。
「実現した夢」
~100カ所障碍者トイレファイル作成~ 2003年12月7日 秋山早苗
「こがねい夢プラン」応募 審査の際のスピーチ
2001年1月私は、病院のベッドの中。
その中で考えたことは、今年は私が、多発性硬化症と付き合いだして、30年、記念すべき年にあたります。何かしたいな。何かしなくては・・・
私の居る病室の廊下の向こうは障碍者用トイレ。そうだ、これだと思い、スケール、鉛筆、メモ用紙を手にしてトイレへ。入り口の幅は90㎝、室内を、1ヵ所、1ヵ所測っていきました。そして、困ったことがでてきました。それは便器のかたちです。この曲線を描くことは無理、あきらめなければ・・・退院してからある委員会で知り合った建築士に相談すると、即解決。道具があるんです。それから、図面の書き方、用紙、道具、手取り足取りで、教えてもらいました。しかしこの生徒は線も満足に引けない落ちこぼれ、困った人です。でも、やる気満々。1ヵ所、1ヵ所測り、図面にしていくと楽しくなる。
こうして市内の公共施設を調べ、スーパー、病院、都立小金井公園、武蔵野公園、野川公園、多摩の都立公園はみんな調べたいーーーとなる、神代植物公園、井の頭自然文化園といきました。ここでまた難問が。多摩動物公園です。一人ではどうしても1歩がでません。そんな時です。2002年のひまわり会の遠足。行き先は多摩動物公園、リーダーにお願いして、私も参加。しかも園内は別行動というわがままです。その上、一人では無理だ、誰か協力してくれる人は?に5人の人が手を上げてくださいました。おかげであの広い公園を全部回り、14枚の図面を書くことができました。こうして集めた図面、どうしたらいいのーー考え、悩みもしました。
小金井新聞で「こがねい夢プラン」の記事を目にしました。申し込んでみようかな、ーー恥をかくのは私一人、だめでもともと。一次審査はとおりました。本審査は12月7日、初めてのこと、何を言ったらいいのか、どうしたらいいのか。この会が終わり外に出たところで、ある人が言ってくれました。「あの人に電話してごらん、番号は***** オレの名前は言っていいから」。翌日、電話は、話は進展、うれしい、これでなんとかなる。うれしい。
追記:「こがねい夢プラン」は、入選して、審査員の方たちからも大いなる励ましの言葉をいただきました。シニアSOHO小金井の支援のきっかけもこの日がスタートでした。
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「はじめに」~この報告書づくりへの目的は?~
「だれでもトイレ」が車いすの使用者には、使えないことがある・・・という話を聞いたのは、3年前。
もし、私たちが、外出先でトイレに駆け込んだところ、使用不可・・・これは、ある意味で「締め出し」であり、「社会的虐待」ではないだろうか。
(中略)
近年、「だれでもトイレ」に関して、各市町村や公共的企業等が、パンフレットを作成し、社会に広報している。しかし、そのトイレを頼りに出かけても、一部の障碍者には、まったく使えないということがある現実・・・所在を知らせるだけでなく、その実態ー使用可能かどうかーこそが重要である。その思いが、私たちの行動の「きっかけ」になった。
さらに事例によっては、微小の改修で、だれでも使えるトイレになるということも判明。改善を提案し、社会的関心の高まることを願い、多数の方の協力を得て、調査書としてまとめた。
注1:「だれでもトイレ」
障害者トイレ、身障者トイレ、みんなのトイレ、多機能トイレ、多目的トイレなど呼称はさまざまであるが、本調査では、<東京都福祉のまちづくり条例>で使用されている「だれでもトイレ」を使用する
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